最近、2026年夏頃、大分市内や別府市、佐伯市など大分県内で「黒い羽に鮮やかな黄色の帯が入った、綺麗なチョウのような虫がヒラヒラ飛んでいる」という目撃情報が急増しています。
実はこれ、チョウではなく「キオビエダシャク(Milionia basalis)」という東南アジア原産の蛾(外来種)です。
近年、九州南部からじわじわと北上しており、ついに大分でも本格的な注意喚起がされるようになりました。 「毒はあるの?」「見つけたらどうすればいい?」という疑問に、分かりやすくお答えします。
キオビエダシャクの「見分け方」〜チョウとの違いは?

Rohit Naniwadekar – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
昼間にひらひらと優雅に飛ぶため、一見すると「綺麗な珍しいチョウ」に見えますが、特徴を知れば一発で見分けられます。
- 成虫(蛾の姿): 羽を広げると6cmほど。全体は濃い紺色(メタリックな黒っぽさ)で、羽に鮮やかな黄色の帯模様と黒い斑点があります。
- 幼虫(イモムシの姿): 体長5cmほどのシャクトリムシです。頭と一頭、お尻、側面が鮮やかなオレンジ色で、背中は黒と灰色のまだら模様という、非常に派手な毒々しい見た目をしています。
毒はないから安心
見た目が派手な虫を見つけると「毒があるのでは?」と怖くなりますよね。結論から言うと、人間への害はありません。
- 幼虫・・・毒なし、触っても大丈夫
- 成虫・・・毒なし、触っても大丈夫
【安全】 キオビエダシャクは、成虫も幼虫も体に毒を持っていません。 触ってしまっても肌が荒れたり、刺されたりすることはないので安心してください。
しかし、人間には無害でも「庭木」には致命的!
キオビエダシャクの本当の恐ろしさは、人ではなく植物への食害です。
幼虫は、庭木や生垣によく使われる「イヌマキ(ヒトツバ)」「ラカンマキ」「ナギ」といったマキ科の葉っぱが大好物。
非常に大食漢で、大量発生すると一本の木の葉をまたたく間に丸坊主にしてしまいます。 葉をすべて食べ尽くされたマキの木は、そのまま枯れてしまう(枯死する)ケースが相次いでおり、園芸大国の大分では大問題になっています。
成虫には薬が効かない!?「幼虫のうちに潰す」べき理由
大分市の環境政策課もホームページ等で注意を呼びかけていますが、このキオビエダシャク、実は「成虫(ガの姿)になってからでは、有効な駆除方法がほとんどない」という非常に厄介な特徴を持っています。
なぜ、飛んでいる成虫ではなく、先に幼虫を駆除するのか?
理由は主に3つあります。

- 成虫は飛び回るため薬が当たらない 殺虫剤などの薬剤は、虫の体に直接しっかりとかかることで効果を発揮します。しかし、成虫は危険を察知するとすぐに飛び立ってしまうため、狙って薬を命中させることが極めて困難です。
- 繁殖力が異常に強く、放置すると「無限ループ」になる キオビエダシャクは初夏から秋にかけて、年に数回も世代交代(卵→幼虫→サナギ→成虫)を繰り返します。成虫をそのままにしておくと、あっという間に卵を産み付けられ、次の世代の幼虫が大量発生する「恐怖の無限ループ」に陥ってしまいます。
- 天敵が少なすぎる 外来種であるキオビエダシャクには、日本の生態系の中に天敵(進んで食べてくれる鳥や他の昆虫など)がほとんどいません。つまり、人間の手で幼虫のうちに数を減らさない限り、自然に減ることはなく増え続ける一方なのです。
葉っぱをムシャムシャ食べている「幼虫の時期」こそが、動きも遅く、薬剤も効きやすいため、最大のチャンスになります。庭木をこまめに観察し、幼虫を見つけたらその場で継続的に駆除していくことが、被害を食い止める最大の防御策になります。
もし見つけたら?正しい駆除・防除方法
大切な庭木を守るためには、早期発見と正しい対策が命です。
① 数が少ないとき(手作業で駆除)

LiCheng Shih – _ESG8117 Milionia zonea pryeri, CC 表示 2.0, リンクによる
キオビエダシャクの幼虫は、「木を揺らすと、糸を吐いて下にぶら下がって落ちてくる」という習性があります。
まだ数匹しかいない場合は、木を揺らして下に落ちた幼虫を捕まえて処分(捕殺)するのが一番手っ取り早いです。
軍手・割り箸・袋を持って捕まえましょう!
② 大量発生してしまったとき(薬剤を使用)
手で追いつかないほど発生している場合は、市販の薬剤(農薬)を噴霧器で散布するのが効果的です。大分県内の自治体等でも以下の薬剤が推奨されています。
- トレボン乳剤: 幼虫に直接かけるとすぐに効く即効性があります。
- ロックオン: 薬剤がついた葉を幼虫が食べることで効果を発揮します。1〜3ヶ月と効果が長持ちするのが特徴です。
※成虫やサナギ、卵には薬が効きにくいため、「オレンジと黒のシャクトリムシ(幼虫)」の時期を狙って散布するのが最大のポイントです。
サナギは木の根元の土の中に潜んでいることがあるため、冬場などに根元を掘り起こして駆除するのも有効です。
見つけたら早めの対策を!
大分市周辺で目撃が増えている「キオビエダシャク」。
人間に毒はないので過度に恐れる必要はありませんが、放っておくとお気に入りの庭木や、立派な生垣が全滅してしまう恐れがあります。
「最近、庭のまわりで黒と黄色のガが飛んでいるな」と思ったら、まずはご自宅のイヌマキやマキの木の葉っぱの裏をチェックしてみてください。
もし派手なシャクトリムシがいたら、大切な木が枯れてしまう前に早めの駆除を心がけましょう!



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