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ニホンオオカミは絶滅して、なぜクマは生きているのか?

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ニホンオオカミが絶滅したことは、みなさんも聞いたことがあるのではないでしょうか。

ニホンオオカミはかつて日本に広く分布していた狼でした。しかし、害獣として駆除の対象になってからは、その姿を見ることはもう二度とありません。

一方で、ニホンオオカミよりも巨大で恐れられているクマは絶滅していません。なぜニホンオオカミは絶滅し、クマは未だに生き残っているのでしょうか

この疑問について考えていきたいと思います。

ニホンオオカミの絶滅の理由

File:Japanese Wolf.jpg
(ニホンオオカミの剥製)By Momotarou2012Own work, CC BY-SA 3.0, Link

クマが生き残っている理由の前にニホンオオカミが駆除された経緯を解説していきます。

ニホンオオカミは、1905年に最後の一頭が確認されて以来、絶滅種と認定されています。その絶滅の主な理由は、人間の活動によるものです。

19世紀後半に入ると、日本の農業が急速に発展し、森林が伐採されて田畑が広がると同時に、オオカミの生息域は大きく縮小しました。

さらに、オオカミが家畜に害を与えることがあるとして、積極的に駆除されるようになります。

これだけならまだしも、もう一つ駆除しなければならない事案が発生しました。

・・・それは海外から侵入して来た『ジステンバー』というウイルス感染症です。

ジステンバーは主に犬で発症する神経症状を伴う疾患で、全身症状を起こして死ぬ至ります。もしこれが家畜で感染するようなことが起きれば飼育産業にとっては壊滅的な打撃になると容易に想像できます。現在では混合ワクチンが存在しますが、当時はこれに代わるものはありませんでした。

また、狼特有の群れで行動する習性から狩猟で一気に多くの個体を駆除できることもあります。

このような環境破壊と感染症の予防、そして狩猟により、ニホンオオカミの個体数は急速に減少し、絶滅に至りました。

クマの生存の理由

それではなぜクマが今も大規模な駆除の対象にならずに生存しているのでしょうか

クマは今もなお、日本の一部地域(ツキノワグマ=本州、ヒグマ=北海道)で生息しています。

クマの生存が可能だった理由は以下。

  • 人間との生息地の違い
  • クマの餌の種類や範囲
  • 今のところ人間や家畜への感染症のリスクがない

この2つの理由を詳しく見ていきます。

人間との生息地の違い

クマは山林や深い森に生息することが多く、人間の生活圏から離れた場所で生活しているため、人間との直接的な接触が少ないのです。

そのため、人間に大きな害を与える野生動物ではないという認識があったと考えられます。

クマの餌の種類や範囲

クマは果物や魚など、雑食で様々な食料を広範囲で探します。その適応能力の高さが生存に寄与していると考えられます。また、一部の木の実や野草を食べたり、シカを捕食するため、生態系の維持にも一役かっていることも理由の一つです。

しかし現在では、クマの生息地の縮小や環境変化による餌不足の影響で、人間との接触が増えています。

特に人里に下りて来て餌を求める行動は、度々ニュースでも被害を引き起こしています。

今のところ人間や家畜への感染症のリスクがない

ニホンオオカミでは、ジステンバーウイルスによる感染症の拡大の懸念から駆除の対象になりました。

また、人間の生活にはニワトリの鳥インフルエンザや牛の狂牛病などの感染症や疾患の広がりが恐れられています。

しかし、現在のところクマはそういった人間や家畜への強力な感染症のリスクがないと判断されています。

絶滅するか、生存するかで環境は大きく変化する

現在では世界規模で持続可能な資源確保や社会作り、環境保護が重要視されています。

ニホンオオカミの絶滅のように人間に害を与えることもあるクマを完全に駆除するという選択肢はもはや取ることはできません

また、これまでの経験から人間と自然との関係の破壊で、環境や経済に多大な影響を与えることを理解しています。

そのため、生態系を保つために単に特定の種を守るだけでなく、その生息する環境全体を維持し、さらには修復しようとする流れが強まっています。

もしクマを絶滅させたとして、食物連鎖の変化で他の生物の絶滅に繋がったり、逆に特定の生物だけが増加しまう可能性もあります。

クマを絶滅させることが正しいことなのか、その後の影響が予測が難しいからこそ安易に行動に移すことは出来ないのです。

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